乾癬の症状(鱗屑)

乾癬(かんせん)は、皮膚が赤く盛り上がり、銀白色のフケのようなものが剥がれ落ちる、免疫の異常が関係した慢性の皮膚疾患です。

当院では、患者様一人ひとりの症状に合わせてステロイドやビタミンD3などの外用療法をはじめ、内服療法やセラビームを用いた光線療法など、幅広い選択肢から最適な治療を提供しています。

また、生物学的製剤などによる高度な治療が必要な重症例の患者様には、連携大学病院を紹介できる体制を整えていることも特徴です。

この記事では、乾癬の原因や症状、当院で実施している治療法からよくある質問まで詳しく解説します。皮膚のことで少しでも気になる症状があれば、いつでもお気軽にご相談ください。

乾癬(かんせん)とは

乾癬は、免疫の異常が関与することによって皮膚に炎症が起きる慢性の皮膚疾患です。日本国内には数十万人規模の患者様がいると推定されており、決して珍しい病気ではありません。

いくつかの種類に分類されますが、全体の約9割を占めるもっとも多い型が「尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)」です。

そのほかにも、急激に小さな発疹が広がる「滴状乾癬(てきじょうかんせん)」や発熱を伴い全身に膿が溜まる「膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)」などの種類が存在します。

現在の医療では病気そのものを完治させることは難しいものの、適切な治療により症状が出ない良好な状態にコントロールすることが可能です。

乾癬の症状

乾癬の典型的な皮膚症状は、境界線がはっきりした赤い盛り上がりである「紅斑(こうはん)」と、その表面を覆う銀白色の角質「鱗屑(りんせつ)」です。この鱗屑がフケのようにポロポロと剥がれ落ちる現象も見られます。

かゆみの有無や強さには個人差があり、強いかゆみを伴う方もいれば、ほとんど感じない方も珍しくありません。乾癬の症状が出やすい部位は、以下のとおりです。

  • 頭皮・生え際
  • 腰まわり・お尻

また、乾癬は皮膚だけに留まらず、爪や関節に症状が現れるケースもあります。
以下に、乾癬で見られる主な症状を種類別にまとめました。

症状の種類主な症状
皮膚の症状くっきりとした赤い盛り上がり(紅斑)、銀白色のフケのようなカサつき(鱗屑)
爪の症状爪の表面に小さな凹凸ができる、爪が分厚くなる、先端が剥がれる(爪乾癬)
関節の症状手足の指関節や背骨などの痛み、こわばり、腫れ(乾癬性関節炎)

特に爪の変形や関節の痛み・腫れを伴う乾癬性関節炎には注意が必要です。関節の炎症を放置すると骨の変形につながる恐れがあるため、皮膚科だけでなく整形外科やリウマチ科と密に連携を取りながら治療を進める場合があります。

乾癬の典型的な皮膚症状(紅斑・鱗屑)
※画像はDermNet(https://dermnetnz.org/)から入手しました

乾癬の初期症状

乾癬は、皮膚に小さな赤い斑点がポツポツ現れることから始まります。この段階ではまだ範囲も狭く、時間の経過とともに斑点が徐々に大きく広がったり、数が多くなったりしていくのが典型的な経過です。

初期の段階では、一般的な湿疹や単なる肌の乾燥によるカサつき、頭皮のフケ症などと区別がつきにくいという特徴があります。特に乾癬と鑑別する必要がある代表的な疾患としては、以下の病気が挙げられます。

  • 脂漏性皮膚炎
  • 尋常性湿疹
  • 白癬

これらの疾患は見た目が似ているため、自己判断で市販薬を塗り続けても十分な効果が得られず、かえって症状を悪化させてしまう原因になりかねません。初期のわずかな変化であっても決して放置せず、早い段階で皮膚科専門医を受診して正確な診断を受けることが重要です。

乾癬はうつらない

周囲の方に知っていただきたいのは、乾癬という病気が他人にうつる心配は一切ないという点です。どれほど皮膚が赤くなっていたり、フケのようなものが剥がれ落ちていたりしても、原因はウイルスや細菌による感染症ではありません。

ご自身の体内の免疫バランスが崩れることで起こる病気であるため、周囲の人に感染するリスクは皆無です。

日常生活の中で患者様と触れたり、同じお風呂やプールに入ったり、衣類を一緒に洗ったりしてもまったく問題ありません。周囲の目を気にせず、安心して日常生活を送ってください。

乾癬の原因

乾癬の発症は、もともと持っている遺伝的な要因に体内の免疫機能の異常が組み合わさることが根本的な原因と考えられています。しかし、特定の遺伝子があるだけで必ず発症するわけではなく、日常のさまざまな環境因子が引き金となっているケースが少なくありません。

具体的には、風邪などの感染症やストレス、肥満、睡眠不足などが発症や症状の悪化に関わっています。このように、体質的な要素と生活環境の刺激が重なり合うことで引き起こされるため、原因を正しく理解して日頃の生活を見直す取り組みが大切です。

免疫の異常

乾癬の発症には、体内の免疫システムが過剰に働き、皮膚の細胞を刺激し続けてしまうという特徴が関係しています。通常であれば約28日かかる皮膚のターンオーバーが、乾癬の病変部では約4~7日という早さにまで短縮されているのです。

その結果、過剰に作られた未熟な皮膚の細胞が外へ押し出されて表面にどんどん積み重なり、厚く赤く盛り上がった紅斑や、銀白色のフケのような鱗屑が生じます。

発症には遺伝的な体質が関与することもありますが、親から子へ必ず遺伝するような病気ではないため、過度に心配しすぎる必要はありません。

乾癬を悪化させる要因

乾癬の症状は一定ではなく、日々の生活習慣や環境の変化によって大きく左右されます。特に症状を悪化させやすい要因として知られているのが、以下のものです。

  • 精神的・肉体的ストレス:仕事のプレッシャーや睡眠不足による疲労は、免疫バランスを乱す大きな原因になります
  • 過度な飲酒・喫煙:アルコールの摂取や喫煙は、皮膚の炎症を促進させて治療の効果を妨げてしまいます
  • 肥満:肥満細胞から分泌される物質が全身の炎症を引き起こしやすくなり、症状の悪化につながることが分かっています
  • 溶連菌などの感染症:風邪や扁桃炎などの感染症にかかると、免疫システムが過剰に刺激されて皮膚のガサガサが急激に広まりやすくなります
  • 特定の薬剤(β遮断薬・リチウム製剤など):一部のお薬が乾癬の症状を誘発したり強めたりするケースがあります
  • 皮膚への物理的な刺激:衣類による摩擦や掻きむしる行為、怪我や日焼けなどが、乾癬の症状悪化や新しい発疹の出現につながる場合があります

乾癬は、皮膚に症状が出る”全身の免疫の病気”です。最近の研究から、肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病と深く関係していることがわかってきました。

乾癬を『皮膚だけのトラブル』と考えて放置すると、長く続く炎症や生活習慣が重なり、心筋梗塞などの重い病気のリスクが高くなる可能性があります。

だからこそ、皮膚の治療と同時に、体重・血圧・血糖・コレステロールのチェックや、食事・運動・禁煙などの生活習慣の見直しがとても大切です。

乾癬の治療

乾癬の治療は、皮膚症状の重症度や現れている部位、患者様の毎日の生活スタイルに合わせて最適な方法を柔軟に選択して進めていきます。

現在の医療では病気そのものをなくすことは難しいものの、一人ひとりに適したアプローチにより日常生活に支障のない良好な状態を保つことが可能です。

当院では、軽症から中等症の患者様を対象に、外用療法、内服療法、光線療法を組み合わせた治療を提供しています。なお、高度な全身管理や注射薬が必要となる重症例の患者様に対しては、連携大学病院へご紹介する体制を整えています。

外用療法(ステロイド・ビタミンD3)

外用療法は、すべての乾癬治療における基本となる重要な選択肢です。主にステロイド外用薬とビタミンD3の2種類を使用します。以下に、治療で使われる2種類の外用薬の特徴をまとめました。

薬剤の種類主な役割特徴と注意点
ステロイド外用薬皮膚の炎症を抑え、赤みやかゆみを和らげる症状の重さに合わせて5段階の強さから最適なものを使い分ける
ビタミンD3外用薬皮膚の細胞が過剰に作られるのを抑え、鱗屑を減らす効果が出るまでに少し時間がかかるため、ステロイド外用薬と併用したり配合剤として用いたりすることが多い

ステロイド外用薬は皮膚の炎症を鎮め、赤みやかゆみを素早く軽減する役割を持っています。ビタミンD3外用薬は、免疫の異常によって加速した皮膚細胞の過剰な増殖を抑え、ターンオーバーを正常に近づけるものです。

効果がじわじわと現れる性質があるため、即効性のあるステロイド外用薬と組み合わせて使うことが多く、最近ではこれらが1つになった配合剤も広く使用されています。

見た目が良くなったからとお薬を自己判断で中止したり変更したりすると、症状が急激に悪化する原因になるため、医師の指示どおりに治療を進めることが大切です。

内服療法

内服療法は、外用療法だけでは十分な効果が得られない場合や、全身に広範囲な症状が出ている患者様に対して選択される治療法です。

当院で処方できる代表的なお薬としては、アプレミラスト(製品名:オテズラ)が挙げられます。体内で炎症を引き起こす原因物質の産生を抑えることで、皮膚の赤みやガサガサを内側から改善する効果を持っているお薬です。

お薬の服用にあたっては、患者様の体質や体調を確認しながら慎重に進めていくことが基本となります。その他の内服薬についても取り扱っていますので、詳しい特徴や選択肢については診察時にいつでもご相談ください。

光線療法(エキシマライト・セラビーム)

当院では、エキシマライト(セラビーム)を導入しています。このエキシマライトは、皮膚の治療において高い効果が期待できる308nm前後の紫外線のみを患部へピンポイントに照射するターゲット型の光線治療です。

従来の光線治療とは異なり、周囲の正常な皮膚へ余計な光が当たってしまう影響を最小限に抑えながら、ピンポイントで安全に治療を行えます。これにより、外用薬だけではなかなか改善が見られなかった肘や膝、頭皮などの治りにくい部位に対してもアプローチが可能です。

さらに、外用薬と組み合わせて治療を進めることで、より高い効果が期待できます。なお、こちらの光線療法は保険適用となりますので、経済的な負担を抑えながら定期的に安心して通っていただくことが可能です。

生物学的製剤について

生物学的製剤は、新しいバイオテクノロジーを用いて開発された注射薬です。乾癬の発症や悪化を引き起こしている免疫異常の原因物質である炎症タンパク質だけを狙い撃ちし、ピンポイントでその働きを抑え込みます。

これまでの一般的な治療では十分な改善が見られなかった中等症から重症の乾癬や、関節症状がある場合に対して効果が確認されています。

治療は保険適用となりますが、非常に新しく高度なお薬であるため、どうしても月々の薬剤費が高額になってしまう点がデメリットです。ただし、患者様の経済的な負担を軽減するために、国が定める高額療養費制度を活用できるケースがあります。

当院では、生物学的製剤の適応となるような重症例や難治例の患者様につきましては、信頼できる連携大学病院へ速やかにご紹介する体制をとっておりますのでご安心ください。

当院の乾癬診療について

当院の乾癬診療では、皮膚科専門医が豊富な知識と経験にもとづき、丁寧な診察と専門的な治療を行っています。乾癬は経過が長く、患者様によって現れる症状やライフスタイルも異なる病気です。

そのため、私たちは現在の皮膚の状態や患者様ご本人の希望に深く寄り添いながら、一人ひとりに最適な治療方針をご提案いたします。

診断について

乾癬は、通常は皮膚の状態を診察することで診断がつきます。皮疹のできる場所や形、境界のはっきりした赤い斑点や、フケのような銀白色のかさつきなど、特徴的な所見を皮膚科医が総合的に判断します。

一方で、湿疹など、他の皮膚病と見分けがつきにくいケースもあります。そのような場合には、皮膚の一部を局所麻酔で少しだけ採取して、詳しく調べる皮膚生検(病理検査)を行い、より正確な診断をつけることがあります。

他院で改善しない方へ

他の医療機関に通院しているにもかかわらず、皮膚の赤みやカサつきがなかなか良くならないとお悩みの方は、ぜひ一度当院へお越しください。最初は一般的な湿疹やアトピー性皮膚炎と診断されて治療を続けていたものの、詳しい検査を進めた結果、実は乾癬だったというケースは決して珍しくありません。

特に頭皮に病変が中心として現れている方では、脂漏性皮膚炎と誤診されることがあります。そのため、ステロイド外用薬やニゾラールなどの抗真菌薬を何ヶ月も使い続けているのに、鱗屑がまったく改善しないという患者様が多く見られます。脂漏性皮膚炎と乾癬は見た目が大変よく似ているため、初期段階での見極めには専門的な視点が必要です。

現在、他院でステロイドを処方されているにもかかわらず症状が良くならないと感じる方は、皮膚科専門医への相談をご検討ください。また、すでに受けている診断内容やお薬の効果について少しでも疑問や不安を感じる場合は、セカンドオピニオンも含めていつでもお気軽にご相談ください。

重症例は連携大学病院へご紹介

当院では軽症から中等症の乾癬に対して治療を提供していますが、高度な生物学的製剤が必要となるような重症例や難治例の患者様については、信頼できる連携大学病院へ速やかに紹介する体制を整えています。

大学病院での治療を開始した後は、体調が安定していれば当院へ戻り、日頃の定期的なお薬の処方や経過のフォローアップを継続して受けていただくことが可能です。

また、現在他院で治療を受けているものの、なかなか効果がでずに悩んでいる方からのセカンドオピニオンのご相談も快く受け付けております。

診療の流れ・費用

当院における初診から治療開始までの大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 問診
  2. 診断
  3. 治療方針決定
  4. 定期通院

乾癬は、厚生労働省が定める「皮膚科特定疾患療養管理料(特疾1)」の対象疾患に指定されており、治療にあたっては適切な管理料が算定されます。また、当院で行っているエキシマライトによる光線療法についても、健康保険が適用されるため安心です。

窓口でお支払いいただく具体的な費用は、患者様が加入されている保険の種別や年齢、所得区分などによって異なります。費用に関する詳細やご不明な点については、診察時に医師やスタッフから分かりやすく丁寧にご説明いたします。

FAQ

ここでは、患者様から実際に当院へご相談いただくよくある質問にお答えします。

Q1. 乾癬は完治しますか?

乾癬は、現在の医療において病気そのものを完治させることは難しい慢性の疾患です。しかし、専門医のもとで適切な治療を続けていれば、症状がほとんど出ない寛解(かんかい)と呼ばれる良好な状態まで導くことができます。

ただし、見た目が一時的に良くなったからといってご自身の判断で急にお薬の量を減らしたり治療を中断したりすると、リバウンドを起こして症状が前よりも悪化してしまうケースが少なくありません。医師と相談しながら根気よく治療のステップを歩んでいく姿勢が重要です。

Q2. 乾癬がひどくなる原因は何ですか?

精神的なストレスや過度の疲労、毎日の飲酒や喫煙習慣、肥満などが免疫バランスを崩す引き金になります。また、風邪や溶連菌などの感染症にかかった後や、高血圧などの治療で使われる特定のお薬の影響によって症状が生じるケースも珍しくありません。

これらに加えて、皮膚を掻きむしったり摩擦の強い衣類を着用したりすることも乾癬の悪化に関係しています。日頃から生活習慣を見直し、自分自身でコントロールできる要因を一つずつ減らしていくことが大切です。

Q3. 乾癬になりやすい人はどんな人ですか?

乾癬の発症には、もともと体質的に乾癬になりやすい遺伝的体質が関与することがあります。ただし、特定の遺伝子があるだけで発症するわけではなく、日頃の不摂生な生活習慣や周囲への環境が深く関係していると考えられています。

具体的には、肥満傾向にある方や喫煙・飲酒の習慣がある方、日常的に慢性的なストレスや過労を抱えている方は免疫のバランスが崩れやすく発症や悪化のリスクが高まるとされているため注意が必要です。

Q4. 生物学的製剤の費用はどのくらいかかりますか?

生物学的製剤による治療は健康保険が適用されるため、窓口での自己負担はご年齢や所得に応じて1~3割となります。しかし、国の制度である高額療養費制度を活用すれば、毎月のお支払い金額に一定の上限が設けられるため、費用を抑えることが可能です。

生物学的製剤による治療は、使用する薬剤の種類によって費用がそれぞれ異なります。また、どの薬剤が最適であるかの判断や具体的な金額のご説明はご紹介先の大学病院で行われるため、当院では重症例の患者様へ向けた連携大学病院へのご紹介手続きを迅速に進めさせていただきます。

Q5. 乾癬の症状が出たら、まず何をすればよいですか?

皮膚に赤みやガサガサとしたフケのような症状が現れたら、まずは速やかに皮膚科の専門医を受診してください。初期の段階では、一般的な湿疹や乾燥肌、脂漏性皮膚炎といった他の皮膚疾患と見た目が非常に似ているため、ご自身で見分けることは困難です。

そのため、自己判断で市販薬を安易に使い続けてしまうと、十分な効果が得られないばかりか、かえって皮膚の状態をこじらせて悪化させる原因になりかねません。気になる症状があれば早い段階で皮膚科を受診し、ご自身の症状に合わせた適切な治療を受けることが大切です。

新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子

監修医師

新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子

皮膚科専門医

医学博士

経歴

2010年 京都大学医学部医学科 卒業
2019年 京都大学大学院医学研究科 皮膚科学博士課程修了
2025年 新宿駅前IGA皮膚科クリニック開院

所属学会

日本皮膚科学会

資格

・皮膚科専門医
・医学博士

SNS

Instagram(フォロワー数約20万人)
院長のInstagramを見る
詳しいプロフィールはこちら