皮脂分泌抑制作用のあるイソトレチノインとは

イソトレチノイン

イソトレチノインは、皮脂の分泌を根本から抑える働きを持つ内服薬です。主に重症ニキビや脂性肌の治療に用いられており、皮膚科領域では、高い皮脂抑制効果を持つ治療薬の一つとされています。

皮脂を抑制するための第一選択とはなりませんが、スキンケアやビタミン剤の内服でも改善しない場合は、イソトレチノインが選択肢となります。

ただし、イソトレチノインには皮膚や粘膜の乾燥、肝機能低下、催奇形性などの副作用があるため注意が必要です。こうしたリスクを理解したうえで、医師の指導のもとで使用することが大切です。

イソトレチノインに期待できる効果

イソトレチノインは、皮脂分泌を根本から抑え、脂性肌を改善したりニキビのできにくい肌環境へ導いたりする効果があります。

皮脂は本来、肌を守るために必要なものですが、分泌量が過剰になると、毛穴の詰まりや炎症を引き起こし、ニキビや肌トラブルを起こす原因となるため注意が必要です。

イソトレチノインは、こうした皮脂の過剰分泌に直接作用する数少ない内服薬であり、外用薬やスキンケアでは改善が難しい重度の皮脂トラブルに対しても効果が期待できます。

皮脂腺を縮小して皮脂分泌を抑制する

イソトレチノインが皮脂に対して高い効果を発揮する理由は、皮脂を作り出す「皮脂腺」そのものを縮小させる働きがあるためです。

一般的な皮脂対策では洗顔や化粧品によって余分な皮脂を取り除くことが中心ですが、イソトレチノインは皮脂が分泌される前の段階に作用します。

皮脂腺の活動が抑えられることで、皮脂の分泌量そのものが減少し、テカリやベタつきが起こりにくくなります。体の内側から根本的に皮脂へアプローチできる点が、イソトレチノインの大きな強みです。

毛穴を引き締める

皮脂の分泌量が多い状態が続くと、毛穴が皮脂によって常に押し広げられ、開いたままの状態になりやすくなります。

イソトレチノインによって皮脂の分泌量が減少すると、毛穴の内側にかかっていた圧力が弱まり、自然と毛穴が引き締まりやすくなります。

これにより、肌の凸凹を目立ちにくくし、なめらかな印象に近づけることが可能です。

また、ボトックスは皮脂を減らす効果があるため、皮内注射も一つの選択肢となります。スキンボトックスの施術を行うことで皮脂分泌量を減少させる効果が期待できます。

角質正常化作用で毛穴詰まりを防ぐ

イソトレチノインには、皮膚の生まれ変わりであるターンオーバーを整える働きもあります。角質が厚くなりすぎたり、古い角質が剥がれ落ちにくくなったりすると、毛穴が詰まってニキビの原因となります。

イソトレチノインは、角質異常を改善し、肌の状態を正常に近づけ毛穴の詰まりを防ぐことが可能です。その結果、ニキビができにくくなり、清潔な毛穴環境を保ちやすくなります。

アクネ菌の増殖を抑える

ニキビの原因菌であるアクネ菌は、皮脂を栄養源として増殖します。イソトレチノインによって皮脂の量が減少すると、アクネ菌が繁殖しやすい環境が改善され、菌の増殖が自然と抑えられます。

その結果、炎症の起こりにくい肌状態が保たれ、ニキビの発生リスクも低下するのです。抗生物質のように菌に直接働きかける効果はありませんが、菌が増えにくい環境を整えられます。

イソトレチノインの効果

イソトレチノインを服用すると、多くの患者さんは治療開始後2~3ヶ月で明らかな改善を実感し、5~6ヶ月で顕著な効果があらわれます。当院では、1日20mgを6ヶ月服用してもらいます。

イソトレチノインは、総合的に服用した量によって、再発しにくくなることが特徴です。再発防止のためにも、処方された量をしっかり服用しましょう。

服用している間に皮脂の分泌量が減少するのはもちろん、皮脂腺の永続的な構造変化により、服用中止後も長期にわたって効果が持続します。

皮脂によるテカリ・脂性肌

顔が常にテカリやすく、化粧が崩れやすい脂性肌の方は、皮脂腺の働きが過剰になっている状態です。このような場合、洗顔や皮脂吸着タイプの化粧品を使用すると一時的にベタつきがやわらぎますが、根本的な改善にはつながりません。

イソトレチノインは、皮脂腺自体を縮小させるため、皮脂の分泌量を抑制し、脂性肌の改善を目指せます。

そのため、日中のテカリやベタつきが軽減され、メイクの持ちが良くなるなど、日常生活への影響も改善が期待できます。

難治性ニキビ

難治性ニキビとは、一般的な治療では改善が見られず、症状が続くニキビのことです。難治性ニキビの多くは、皮脂分泌の過剰や毛穴詰まり、アクネ菌の増殖など、複数の要因が重なって発症しています。

イソトレチノインは、皮脂分泌の抑制、角質の正常化、アクネ菌の増殖抑制など複数の作用を同時に発揮するため、難治性ニキビに対しても効果が期待できます。

その他の適応症:酒さへの有効性

近年では、酒さに対する有効性も報告されています。酒さは、顔の赤みやほてり、毛細血管の拡張、ニキビのような発疹を特徴とする慢性的な皮膚疾患です。

従来は、外用薬や抗菌薬の内服が治療の中心でしたが、標準的な治療に反応しない症例も少なくありません。

近年の臨床研究により、標準治療で十分な改善が得られない酒さに対しても、低容量のイソトレチノイン内服によって症状の改善を示すことが報告されています。

イソトレチノイン内服の副作用と注意点

イソトレチノインは、皮脂分泌を強力に抑制する薬剤である一方、副作用や使用上の注意を正しく理解したうえで治療を受けることが重要です。

高い治療効果が期待できる反面、体質や既往歴によってはリスクを伴う場合もあるため、必ず医師の管理下で使用する必要があります。

一般的な副作用

イソトレチノインの副作用として、次のものが知られています。

  • 皮膚や粘膜の乾燥
  • 唇のひび割れ
  • 目の乾き
  • 肝機能低下
  • 膵炎
  • 脂質異常症
  • ニキビの悪化

特に報告数が多いのが、皮膚や粘膜の乾燥です。イソトレチノインによって皮脂分泌が抑制されることで、肌の水分保持力が低下するために起こります。

血液検査では、肝機能や中性脂肪値に変化が見られる場合があるため、定期的な検査が必要です。

また、フレア(好転反応)と呼ばれるニキビの悪化が約6~20%で見られることがあります。イソトレチノインの治療を開始して1~2週間ほどで一時的にニキビが増悪する場合がありますが、これは治療が効き始めた証拠です。

通常は、1~2ヶ月ほどで症状が改善します。このような副作用が見られる可能性があるため、イソトレチノインは医師の指示のもとで治療を継続することが重要です。

イソトレチノインの禁忌

イソトレチノインは、以下に該当する方は服用できません。

  • 妊娠中や授乳中の方
  • 妊娠を希望している方
  • 重度の肝障害がある方
  • ビタミンA過剰症の方
  • イソトレチノインの成分にアレルギーがある方

妊娠中や授乳中には服用できない

イソトレチノインは、胎児に重大な先天異常を引き起こす可能性があるため、妊娠中の服用は禁止されています。また、妊娠を希望している場合も服用できず、治療開始前1ヶ月と服用中、服用終了後6ヶ月は避妊が必要です。

授乳についても、乳児への影響が完全に否定できないため、服用は認められていません。治療を希望する場合は、妊娠の可能性がないことを確認したうえで、医師の指示に従って服用する必要があります。

皮脂分泌が気になる方におすすめのスキンケア

イソトレチノインの治療を受けている場合でも、誤ったスキンケアを続けていると、肌トラブルが悪化することがあります。大切なのは、皮脂を取りすぎないこと、肌の水分量を適切に保つことです。

植物油のクレンジングオイルでメイクを落とす

皮脂が多い方は「オイルは避けたほうがよい」と考えがちですが、ポイントメイクや皮脂汚れをしっかり落とすためには、クレンジングオイルが適しています。


メイク汚れは油分でできているため、同じ油分であるオイルで馴染ませることで、肌に負担をかけずに落とせます。無理にこすって洗い流す必要がなくなり、摩擦による刺激を減らすことが可能です。

また、植物油だと皮脂に似た成分であるため、やさしく汚れを落とすことができます。ただし、肌に残存すると肌荒れの原因になることがあるので乳化を意識したクレンジングを心がけましょう。

皮脂と水分のバランスを整えるスキンケア

皮脂分泌を抑えるためには、油分を減らすことだけでなく、十分な保湿も欠かせません。肌の水分量が不足すると、それを補おうとして、皮脂の分泌が増えることがあります。

スキンケアにおいて大切なのは、皮脂を無理に取り除くのではなく、肌が本来持つ調整機能を整えることです。

植物油を使った美容オイルの使用を控える

植物油を使った美容オイルは、皮脂が多い方にとってニキビの悪化要因となる可能性があります。その理由の一つが、植物油に多く含まれるトリグリセリドがニキビの原因菌であるアクネ菌の栄養源になるためです。

アルガンオイルやマカダミアナッツオイルなどの植物由来オイルは、保湿力が高い反面、皮脂が多い肌質の方には負担となることがあるので注意する必要があります。

ノンコメドジェニックテスト済みの化粧品を使用する

ノンコメドジェニックテスト済みの化粧品は、毛穴詰まりを起こしにくいように設計されており、肌トラブルのリスクを軽減する効果が期待できます。

コメドとは、毛穴に皮脂が詰まった状態で、白ニキビとも呼ばれます。ノンコメドジェニックテスト済みの化粧品なら、コメドができにくいことが試験で確認されているため、皮脂量が多い方でも使いやすいことが特徴です。

バリア機能を整えるスキンケアを行う

肌のバリア機能が低下すると、外部刺激を受けやすくなり、皮脂分泌の乱れや炎症の原因になります。洗顔後は化粧水や乳液で水分と油分のバランスを整え、肌を乾燥から守ることが重要です。

特にイソトレチノイン治療中は乾燥しやすいため、低刺激で保湿力の高いアイテムを選ぶ必要があります。

イソトレチノイン以外で皮脂を抑える効果が期待できる成分

症状が軽度の場合や副作用が気になってイソトレチノインに抵抗がある方は、スキンケア成分や内服成分によって皮脂バランスを整えていく方法も選択肢となります。

これらの成分は皮脂腺に直接強く作用するわけではありませんが、皮脂の分泌を抑制したり、毛穴環境を改善したりすることで、間接的に皮脂トラブルをやわらげるものです。

スキンケア成分

ビタミンC

ビタミンCは、皮脂の酸化を防ぎ、毛穴の黒ずみや詰まりを防ぐ働きが期待できる成分です。皮脂は空気に触れることで酸化し、毛穴の開きや炎症を引き起こしやすくなります。

ビタミンCには抗酸化作用があり、皮脂の変質を抑えるため、毛穴トラブルの予防に役立てることが可能です。

アゼライン酸

アゼライン酸は、皮脂分泌を穏やかに抑える作用があり、ニキビや赤みの改善に用いられる成分です。

皮脂腺に働きかけることで過剰な皮脂分泌を抑制し、毛穴詰まりを防ぐ効果が期待できます。さらに、角質の異常な増殖を抑える作用があることも特徴です。

ナイアシンアミド

ナイアシンアミドは、皮脂の分泌調整に加え、肌のバリア機能を整える働きがあります。皮脂が多い肌は、外部刺激を受け、炎症を起こしやすい状態です。

ナイアシンアミドによって肌の水分保持力が高まると、皮脂の過剰分泌を防ぎやすくなります。また、毛穴の目立ちを抑える効果も期待できるため、テカリと同時に毛穴が気になる方にも適した成分です。

レチノール

レチノールは、肌のターンオーバーを促進し、さらに皮脂の分泌を抑制して毛穴詰まりを改善する働きがあります。

皮脂が多い状態が続くと古い角質が毛穴にたまりやすくなりますが、レチノールは角質の排出をサポートし、毛穴環境を整えることが可能です。

内服成分

ビタミンB2、ビタミンB6内服

ビタミンB2とビタミンB6は、皮脂の代謝を助ける働きを持つ成分です。これらが不足すると、皮脂分泌のコントロールが乱れやすくなり、ニキビや肌荒れの原因となることがあります。

適切に補給することで皮脂の分泌が正常に近づき、肌の状態が整いやすくなります。当院では、ビタミンB2とビタミンB6の内服薬を取り扱っています。

皮脂が多い方がやってはいけないスキンケア

日常の生活習慣がかえって皮脂分泌を悪化させているケースが少なくありません。皮脂は肌を守るために必要なものですが、過剰になると毛穴詰まりやニキビ、テカリの原因となります。

イソトレチノイン治療を行っている場合でも、日常のスキンケアが適切でなければ十分な効果が得られないことがあります。

油分が多いこってりしたクリームを使う

保湿のために、油分の多いクリームを厚く塗ることは、皮脂が多い方にとって逆効果となることがあります。

本来、皮脂は皮脂膜によって水分を保っていますが、油分を過剰に与えすぎると、「これ以上皮脂を出す必要がない」と誤った信号が伝わり、皮脂分泌のバランスの乱れにつながることがあるのです。

また、重たいテクスチャーのクリームは毛穴を塞ぎやすく、皮脂や汚れがたまりやすい状態を作る原因となります。特に植物油はニキビの原因となるアクネ菌の餌であるトリグリセリドが多く含まれるため、皮脂が気になる方には向きません。

この他、植物油にはバリア機能を低下させる不飽和脂肪酸も含まれています。油分が多く、特に植物油を使っているものは避けましょう。

乳液とクリームを重ねづけする

水分を閉じ込めるために、乳液とクリームを両方使用する方もいますが、皮脂が多い場合は過剰な油分供給につながる恐れがあります。

すでに皮脂が分泌されている状態でさらに油分を重ね付けすると、毛穴が塞がれやすくなり、皮脂の排出が妨げられる可能性があります。油分の与えすぎは皮脂トラブルを長引かせる要因となるため、注意が必要です。

ジェルクレンジングやミルククレンジングを使用する

ジェルクレンジングやミルククレンジングは、肌への刺激が少ない反面、皮脂やメイク汚れを十分に落としきれない場合があります。

皮脂が多い方では洗浄力が足りないと、汚れが毛穴に残り、角栓やニキビができる原因となるので注意が必要です。皮脂と似た成分である植物油は皮脂を効率よく落とすことができるため、皮脂が多い方は、植物油のクレンジングオイルの使用が向いています。

脂質や糖質の多いものを過剰摂取する

食生活も皮脂分泌に大きく関与しています。脂質や糖質が多い食事が続くと、皮脂の原料となる成分が体内で増え、皮脂分泌が活発になりやすくなるのです。

特に揚げ物や甘いお菓子、清涼飲料水などの摂取が習慣化している場合は、皮脂トラブルが悪化しやすくなります。

料金

全て税込表示
イソトレチノイン 20mg×30錠(1ヶ月分)16,500円
採血5,500円
ハイボン 20mg x 90錠(1ヶ月分)1,980円
ピドキサール 20mg x 90錠(1ヶ月分)1,980円

イソトレチノインを通販・個人輸入ではなくクリニックで処方を受けるべき理由

イソトレチノインはインターネット上で通販や個人輸入という形で入手できる場合がありますが、安全に効果を得るためにはクリニックでの処方をおすすめします。その理由をご説明します。

定期的な血液検査による安全管理

イソトレチノインは服用中に肝機能や血中脂質の数値に変化が生じることがあるため、定期的な血液検査が必要です。通販・個人輸入では医師による検査・管理が行われないため、異常が生じても気づくことができません。

当院では服用開始前および服用中に定期的な血液検査を実施し、安全性を確認しながら治療を進めます。

副作用への適切な対応

イソトレチノインには皮膚・粘膜の乾燥、好転反応(一時的なニキビの悪化)など、服用中に生じやすい症状があります。

クリニックで処方を受けることで、こうした症状が生じた際に医師が状態を確認し、用量の調整や適切なスキンケアの指導を受けることができます。

用量・服用期間の適切な管理

イソトレチノインは体重や症状の程度に応じた用量設定が必要で、総服用量によって再発防止効果が変わります。医師が一人ひとりの状態を確認しながら用量・期間を調整することで、効果を最大限に引き出すことができます。

当院でのイソトレチノイン処方について

当院では皮膚科専門医が診察のうえイソトレチノインを処方し、定期的なフォローアップを行っています。処方の流れや費用については以下のページをご覧ください。

イソトレチノインによる皮脂コントロールの治療なら新宿駅前IGA皮膚科クリニック

皮脂の過剰分泌に悩み、さまざまなスキンケアや治療を試しても改善しない場合は、イソトレチノインによる治療が有効な選択肢となります。

新宿駅前IGA皮膚科クリニックでは、皮脂トラブルに精通した皮膚科専門医が、一人ひとりの肌状態や生活背景を確認したうえで、適切な治療プランを提案しています。

イソトレチノインは、高い効果が期待できる反面、正しい用法用量の管理や副作用への対応が欠かせません。そのため、当院では、定期的な診察と検査を行いながら安全性を重視した治療を実施しています。

未承認医薬品等に関するご案内

・未承認医薬品であることの明示
本施術に使用する医薬品は、医薬品医療機器等法上、未承認医薬品です。

・入手経路等の明示
施術に用いる医薬品および機器は、当院医師の判断の元、国内輸入販売代理店を通じて個人輸入手続きを行ったものです。

・国内の承認医薬品等の有無の明示
同一の性能を有する国内承認医薬品・医療機器はありません。 ・諸外国における安全性等に係る情報の明示
諸外国で重篤な安全性情報の報告はありません。

新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子

監修医師

新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子

皮膚科専門医

医学博士

経歴

2010年 京都大学医学部医学科 卒業
2019年 京都大学大学院医学研究科 皮膚科学博士課程修了
2025年 新宿駅前IGA皮膚科クリニック開院

所属学会

日本皮膚科学会

資格

・皮膚科専門医
・医学博士

SNS

Instagram(フォロワー数約20万人)
院長のInstagramを見る
詳しいプロフィールはこちら