花粉症が引き起こす肌トラブル「花粉皮膚炎」とは

花粉症と聞くと、多くの方が鼻水やくしゃみ、目のかゆみといった症状を真っ先に連想しますが、実は肌にも影響を及ぼすことがあります。花粉の飛散時期に合わせて起こる肌トラブルは花粉皮膚炎と呼ばれ、近年増加傾向にあるアレルギー反応の一つです。

肌が赤くなったりヒリついたり、ニキビのようなできものができたりします。単なる乾燥や体調不良だと思い込んで放置してしまうと、症状が悪化して跡が残る可能性もあるので注意が必要です。

そのため、花粉の時期に起こる肌トラブルは、「肌の花粉症」として捉え、適切な対策を講じる必要があります。当院では、花粉症が原因で起こる肌トラブルの治療も行っています。

花粉症による肌荒れの症状

花粉症による肌荒れで多くの方を悩ませているのが、顔のかゆみです。飛散した花粉が皮膚に付着し、免疫システムが過剰に反応することで引き起こされます。

一般的なニキビや湿疹とは異なり、肌の表面がカサカサと乾燥して粉を吹いたような状態になったり、小さなブツブツが広範囲に広がったりするのが、花粉による肌トラブルの特徴です。

また、顔がかゆいからといって肌をこすったり掻いたりしてしまうと、皮膚のバリア機能が破壊され、炎症が悪化することもあります。

花粉症による肌荒れの原因

花粉症による肌荒れは、バリア機能の低下と花粉の接触が原因です。本来、私たちの肌の表面には角質層という薄い膜があり、外からの刺激や異物の侵入を防いでいます。

しかし、不適切なスキンケアや乾燥によってバリア機能が弱まると、角質層に隙間ができ、そこから花粉が侵入してアレルギー反応が起こってしまうのです。

また、鼻を何度もかんだり目をこすったりする際の摩擦が刺激となって荒れることもあります。

花粉症で肌荒れが起こりやすい方の特徴

もともと乾燥肌や敏感肌の傾向がある方は、花粉症で肌荒れを起こしやすくなります。これらの方は肌の水分保持力が低く、必然的にバリア機能も弱くなるため、花粉の影響を受けやすくなるのです。

また、アトピー性皮膚炎の方はバリア機能が低下しているため、花粉症で肌荒れが起こりやすくなります。

花粉症による肌荒れの予防方法

花粉症による肌荒れを予防するには、物理的に花粉をブロックすることと、肌自体の抵抗力を高めることの2点が重要です。

肌に花粉が付着しないように保護する

肌荒れを防ぐために重要なのが、肌に花粉を直接触れさせないことです。

花粉症による肌の炎症は、目に見えないほど微細な花粉が皮膚に接触することで生じるため、外出時の工夫が欠かせません。マスクや眼鏡、ツバの広い帽子を着用し、花粉が付着するのを防ぎましょう。

また、衣類の素材選びも重要です。ウールなどの毛羽立った素材は花粉を吸着しやすいため、表面がなめらかなナイロンやポリエステルの素材を選びましょう。

静電気の発生を抑え、花粉の付着を防ぐ花粉ガードスプレーなどを活用するのもおすすめです。

肌のバリア機能が低下しないようにコンディションを整える

花粉の影響を受けにくい肌を作るためには、肌のバリア機能を正常に保ち、コンディションを整えておくことが重要です。

バリア機能とは、肌の表面にある角質層が十分な水分を蓄え、外からの異物の侵入を防ぐ仕組みのことを指します。この機能が正常に働いていれば花粉が侵入しにくくなりますが、機能が低下するとかゆみや赤みを引き起こしてしまいます。

肌のコンディションを整えるためには、こまめな保湿ケアが欠かせません。また、質の良い睡眠を取り、バランスの良い食事を摂りましょう。

花粉症で肌荒れが起きたときの対処法

花粉症の影響で肌荒れが起きてしまったときには、刺激を排除しつつ肌の回復を助けるケアを行うことが大切です。

正しいスキンケアを行う

花粉による肌荒れを改善するためにまず見直すべきなのが、毎日のスキンケアの見直しです。

炎症が起きている肌は非常にデリケートな状態にあるため、汚れを落とす際も潤いを与える際も、とにかく摩擦を与えないように意識する必要があります。「こすらない」「刺激を与えない」ことを心がけてスキンケアを行いましょう。

刺激の少ないクレンジングや洗顔を心がける

肌荒れが起きているときに注意したいのが、刺激の少ないクレンジングや洗顔を行うことです。汚れやメイクを落とそうと強くこすり洗いをするのは避けてください。

クレンジングは肌のバリア機能を維持しながら汚れを浮かせるタイプを選ぶのが理想的です。例えば、当院でも推奨しているバリアサポートクレンジングオイルのように、肌に必要な潤いは残しつつ、付着した花粉などの汚れを素早く浮き上がらせる製品を活用することをおすすめします。

洗顔時は、手のひらで肌を直接触らず、たっぷりの泡をクッションにして優しく洗い流してください。

保湿をしっかりと行う

低下したバリア機能を高めるためには、保湿が重要です。花粉症による肌荒れが起きているときは、角質層の水分保持力が低下しており、外部刺激に対して無防備な状態になっています。

花粉症で肌荒れを起こしているときは、アルコールなど刺激になりやすい成分が含まれていない低刺激のもので水分をたっぷりと補給し、乳液やクリームなどの油分で蓋をしましょう。

日焼け止めやメイクで肌を花粉から守る

肌が荒れているときはメイクを控えたくなるものですが、実は適切な日焼け止めやメイクによって、肌に花粉を直接触れさせないというバリアを作ることができます。

すっぴんの状態で外出すると、無防備な皮膚に花粉が直接付着し、炎症を加速させる原因となるので注意が必要です。日中は「薄いベールをまとう」ような感覚で肌を保護することを心がけてください。

規則正しい生活を心がける

私たちの肌は、眠っている間に分泌される成長ホルモンによって修復・再生が行われます。仕事や学校、普段の生活が忙しく、睡眠不足や不規則な食生活が続くと、肌のターンオーバーが乱れ、せっかくのケアの効果も半減してしまいます。

夜は決まった時間に就寝し、寝る前にスマートフォンを見たり、寝る直前に食事したりするのを避けて質の高い睡眠を確保するよう努めてください。

食事面では、皮膚の粘膜を健やかに保つビタミンAやビタミンB群、免疫機能に関わるタンパク質を積極的に摂取しましょう。

当院で行っている花粉症による肌荒れの治療法

当院では、花粉症による肌荒れの治療も行っています。主な治療は、外用薬と内服薬の2種類です。また、肌荒れが花粉症によるものかどうかを調べる血液検査(VIEW39)も実施しています。

かゆみや炎症を抑える「外用薬」

花粉が原因で起こる赤みやかゆみは、皮膚の表面で免疫反応が過剰に起きている証拠です。これを速やかに抑えることが症状悪化を防ぐ鍵となります。

当院では、患者さまの肌の状態や炎症の強さに応じて、リンデロンやロコイドなどのステロイド外用薬を適切に使い分けています。

また、肌のバリア機能が低下している場合には、ヘパリン類似物質などの保湿剤を併用し、乾燥から肌を守る土台作りも同時に行います。

体の中からアレルギーを抑える「内服薬」

花粉症は全身のアレルギー疾患であるため、飲み薬によってヒスタミンの働きをブロックすることが、肌荒れの改善に役立ちます。

アレグラやアレロックなどの抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬は、鼻水やくしゃみだけでなく、皮膚のかゆみを内側から鎮める効果があります。

血液検査(VIEW39)で花粉症かどうかをチェック

花粉症の原因を特定するために、血液検査も行っています。一口に花粉症といっても、スギ、ヒノキ、カモガヤなど原因となる植物は多岐にわたり、それぞれ飛散時期が異なることが特徴です。

当院で採用しているVIEW39は、少量の採血で主要な花粉症の原因物質を含む39項目のアレルゲンを一括して調べられます。

花粉症による肌荒れの治療なら新宿駅前IGA皮膚科クリニック

花粉症による肌荒れは、放置すると慢性的な皮膚炎へと進行する可能性があります。花粉症が原因で起こる皮膚のトラブルは、一般的なアプローチだけでなく、皮膚そのもののバリア機能を修復する専門的なケアが欠かせません。

当院では、単に薬を処方するだけでなく、患者さまの生活スタイルや肌質に合わせたオーダーメイドのケアプランを提案することを大切にしています。

花粉症による肌荒れに関するよくある質問

ここでは、新宿駅前IGA皮膚科クリニックに寄せられる代表的な4つの質問に回答します。

スギ以外でも花粉症の症状は出ますか?

スギ以外の植物でも花粉症の症状が出ることがあります。日本では、春のスギだけでなく、その直後に飛散するヒノキ、初夏から夏にかけてのカモガヤ、さらに秋にはブタクサやヨモギといった花粉が1年を通して舞っています。

スギ花粉のシーズンが終わったはずなのに鼻水や肌の赤みが引かない場合は、別のアレルギーを疑うべきです。当院ではVIEW39という血液検査を用いて、一度に39項目のアレルゲンを確認できます。

スキンケアを行っても花粉症の肌荒れが治らないときはどうしたらいいですか?

スキンケアをどれだけ徹底しても肌荒れが改善しない場合は、早めに皮膚科を受診して専門的な治療を受けることが大切です。すでに花粉によって皮膚のバリア機能が破壊され、強い炎症が起きている状態では、スキンケアだけで改善するのは簡単ではありません。

皮膚科では、医師が肌の状態を直接確認し、炎症を素早く鎮める外用薬や、体の中からアレルギーを抑える内服薬を処方します。

花粉症の時期に肌にブツブツができる原因は何ですか?

花粉症の時期に肌に小さなブツブツができるのは、花粉による花粉皮膚炎が原因です。

バリア機能が低下していると、皮膚の表面に目に見えないほどの細かな隙間ができ、この隙間から花粉が入り込み、湿疹や赤みやブツブツが生じます。

花粉症は皮膚科で治療できるのですか?

肌の赤みやかゆみ、ブツブツなどの皮膚症状が強く出ている場合は、皮膚の専門家である皮膚科の受診が適しています。

ただし、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど皮膚以外の症状が強い場合は、耳鼻咽喉科や眼科などを受診してください。

新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子

監修:

新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子
日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士
京都大学医学部卒業