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ニキビ跡とは

ニキビ跡とは、ニキビが治ったあとに肌に残る赤み・色素沈着・陥没(クレーター)などの痕跡のことを指します。
炎症が強かったニキビや、繰り返しできたニキビ、無理に潰してしまったニキビは、肌の構造を深く傷つけ、跡が残りやすくなります。
こうしたニキビ跡は一度できると自然に改善するのが難しく、美容皮膚科での治療が必要になることも多いのが実情です。
特に、色素沈着や陥没などの目立つニキビ跡は、化粧で隠しきれず、長年悩みの原因になることも少なくありません。
ニキビ跡は単に見た目の問題だけでなく、自己肯定感にも影響を与えるため、早めの対処が大切です。
ニキビ跡の原因
ニキビ跡ができる主な原因は、ニキビの炎症が肌の深い層(真皮)にまで及んでしまうことです。
毛穴に皮脂が詰まり、そこにアクネ菌が繁殖すると炎症が生じます。
炎症が強く長引くと、周囲の組織を破壊し、その修復過程で色素沈着や瘢痕が残ってしまうのです。
また、ニキビを自分で潰してしまったり、洗顔時の摩擦が強すぎたり、紫外線を浴びることで炎症が悪化しやすく、結果的にニキビ跡ができやすくなります。
肌のターンオーバーが乱れている状態や、ホルモンバランスの乱れ、間違ったスキンケアもニキビやニキビ跡の原因となるため、肌質や生活習慣の見直しも大切です。
ニキビ跡の種類
ニキビ跡にはいくつかの種類があり、それぞれできるメカニズムが異なります。
まず、「炎症後紅斑」と呼ばれる赤みは、ニキビの炎症が収まった後にも血管が拡張したままになり、肌表面に赤みとして残る状態です。
次に、「炎症後色素沈着」は炎症によってメラニンが過剰に生成され、色素が皮膚に沈着することによって生じます。
そして最も治療が難しい「クレーター(陥没)」タイプは、炎症によって真皮層のコラーゲンが破壊され、肌の構造が崩れたまま瘢痕化したものです。
クレーターの中は主に3種類に分かれます。

ローリング型:表面が波打つような浅い凹凸が広範囲に現れるタイプで、ピコフラクショナルレーザー、サブシジョンなど表皮から浅真皮へアプローチする療法が効果的です。
ボックスカー型:縁がはっきりした凹みで、垂直に陥没するタイプです。サブシジョン+ヒアルロン酸注入やCO₂レーザーにてクレータの辺縁を削る治療が適応です。
アイスピック型:直径2mm未満の細く深いV字型で最難治性です。TCA CROSS法(高濃度トリクロロ酢酸塗布)やサブシジョン併用、CO₂レーザーによるピンポイント治療で深層コラーゲン再生を促進します。
いずれのニキビ跡も、ニキビの炎症が長引いたり、自己処理を行ったりすることで悪化するため、早期に適切な治療を行うことが重要です。
光治療(ステラM22)

IPL(Intense Pulsed Light)と言われ、光を照射することで、赤みや色素沈着を穏やかに改善し、肌のトーンも整え、ニキビによる炎症後の色味の残りに効果的とされています。
他のIPLと異なりステラM22は複数の波長フィルター(590nmで赤み、515/560nmで茶色の色素沈着)を搭載し、症状に応じて赤み・色素沈着どちらにも最適な光を選択・組み合わせ照射できます。これにより、ニキビ跡の赤みも茶色く残った色素沈着も同一機器で効率的に改善し、ダウンタイムや副作用も軽度に抑えられる点が大きなメリットです。
推奨回数
5回〜(1ヶ月に1回)
副作用
度の赤み、火照り感
ダウンタイム
ほとんどなし
禁忌
妊娠中、光線過敏症、日焼け後
サブシジョン(トライフィルプロ)※未承認治療

トライフィルプロは、CO2ガス(炭酸ガス)によるサブシジョンと薬剤注入を同時に行える点がダブルメリットです。炭酸ガスで癒着した瘢痕組織を切断・剥離し空間を作り、そこに治療薬剤を確実に注入できます。さらに再度CO2ガスを注入して薬剤を均一分散させ、ボーア効果により血流・酸素量を増加させてコラーゲン産生を促進します。この二重のアプローチにより、従来のサブシジョンより精密で効果的な治療が可能となります。
推奨回数
1〜3回(重症度により調整)
副作用
内出血、腫れ、痛み
ダウンタイム
5〜7日程度
禁忌
出血傾向のある方、感染症のある部位
当院のニキビ跡の治療方針について
ニキビ跡とひとくくりにはされますが、症状の出方や肌質は一人ひとり異なります。
当院ではまず肌診断機器「VISIA」などを活用して、現在の状態を的確に把握していきます。
そのうえで、症状に応じて最適な治療法を提案いたします。
それぞれの治療を単独で行うだけでなく、複数の治療を組み合わせることで、より高い効果を目指します。
また、再発予防やニキビができにくい肌を目指したスキンケアの指導も重視しています。
気になる跡をあきらめずに、まずはご相談ください。
ニキビ跡を予防するための生活習慣・スキンケアのポイント
ニキビ跡を残さないためには、まずニキビができた段階で適切な対処をすることが大切です。
ニキビを指や爪で潰すことは絶対に避け、炎症が強い場合は早めに皮膚科を受診しましょう。
当院ではニキビケアの中でも、皮脂コントロールが最も重要だと考えています。
1.低刺激なクレンジングオイルによる皮脂除去
当院では低刺激性のクレンジングオイルで毛穴の奥の皮脂や汚れをしっかりと落とすことを推奨しています。オイルは皮脂や油性の汚れを効果的に溶かし、毛穴詰まりを防ぎます。一方で洗浄力の弱いジェルやミルクタイプのクレンジング洗顔で汚れ落ちが不十分だとニキビの悪化のリスクになりえるため、注意しましょう。
2.ノンコメドジェニックスキンケアの徹底
毛穴詰まり(コメド)を起こしにくい「ノンコメドジェニックテスト済み」の化粧品を選び、アクネ菌の繁殖を抑制します。
3.皮脂抑制成分の積極活用
ニキビができやすい方は以下の成分を取り入れましょう。
- ビタミンC:抗酸化作用と皮脂分泌抑制効果
- アゼライン酸:皮脂抑制・抗炎症・角化異常改善効果
- ナイアシンアミド:皮脂分泌抑制と肌バリア機能改善
4.適切な保湿バランス
過剰な保湿は毛穴詰まりを悪化させるため、肌に必要な水分は与えつつ、油分は控えめにすることが重要です。
乳液とクリームのW使いはニキビ肌の方には過剰保湿となり、皮脂分泌を乱してニキビを誘発するリスクがあるためどちらか片方を使用することを当院では原則推奨しています。
5.定期的な角質ケア
ピーリング洗顔やAHA・BHAなどのピーリング成分配合製品で古い角質を除去し、毛穴詰まりを予防します。
その他の重要なポイントとして、紫外線は炎症後の色素沈着を悪化させるため、日焼け止めは一年を通して使用しましょう。
また、十分な睡眠・栄養バランスのよい食事・ストレス管理といった生活習慣の見直しも、ニキビの再発予防と肌の修復に役立ちます。
過剰なスキンケアや自己判断による薬剤使用は逆効果になることもあるため、気になる症状は早めに医師に相談することが肝心です。
未承認医薬品等に関するご案内
・未承認医薬品であることの明示
本施術に使用する医薬品は、医薬品医療機器等法上、未承認医薬品です。
・入手経路等の明示
施術に用いる医薬品および機器は、当院医師の判断の元、国内輸入販売代理店を通じて個人輸入手続きを行ったものです。
・国内の承認医薬品等の有無の明示
同一の性能を有する国内承認医薬品・医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報の明示
諸外国で重篤な安全性情報の報告はありません。
リジュランは、韓国食品医薬品局(MFDS)の承認を受けています。
EU加盟国の安全基準条件を満たすことを証明する「CEマーク」を取得しています。

監修:
新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子
日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士
京都大学医学部卒業



