シミ取り治療後のダウンタイム中に起こることがある症状

シミ治療は複数の選択肢があります。レーザーを用いた強力なピンポイント治療から、フォトフェイシャルやトーニングなど広範囲で穏やかな治療まで、それぞれダウンタイムが大きく異なります。本記事では、当院で提供するシミ・色素沈着・くすみなどのシミ改善治療全般について、ダウンタイムの違いを詳しく解説します。

シミ治療後は、肌がレーザーや光の刺激を受けた直後であるため、一定のダウンタイムが生じることがあります。これは、肌がダメージを修復し、新しい細胞を作るための自然な反応です。

しかし、ダウンタイムの程度や長さによっては、仕事や日常生活に影響が出てしまうこともあるでしょう。ここでは、シミ治療後に起こりやすい具体的なダウンタイムについて詳しく解説します。

シミ取り治療(Qスイッチ、ピコスポット)直後のダウンタイム

赤み

赤みは、シミ取り直後に特によく見られる症状です。照射によって肌の表面に軽い炎症が起こることで発生します。

治療直後数時間~数日ほど続くことが多く、メイクで隠せる程度の赤みであれば心配はいりません。

腫れ

シミ取りレーザーの照射後には、治療部位に軽い腫れが生じることがあります。これは、レーザーの熱によって皮膚が一時的にやけどに近い状態となり、炎症反応が起こるためです。腫れは数時間から数日程度で落ち着くことが多く、特別な処置を必要としないケースがほとんどです。

ただし、腫れが強く出る場合や数日以上続く場合は、炎症が長引いている可能性があるため、医療機関を受診してください。

水ぶくれ

水ぶくれは、強いエネルギーが加わった部分にまれに起こる反応です。肌が一時的に強いダメージを受けた際にあらわれます。水ぶくれができた場合は無理に破らないことが大切です。

触ったりこすったりすると跡が残る原因になるため、水ぶくれができた際も早めに医療機関を受診しましょう。

かさぶた

シミ取り治療を行ってから数日程度で、患部にかさぶたができることがあります。無理に剥がすと跡が残りやすくなるため、自然に剥がれるのを待つことが大切です。

そのため、かさぶたができた後は、洗顔やクレンジングのときに強くこすらないように注意しましょう。

痛み

痛みはシミ取りの照射による一時的な反応で、ヒリヒリすると感じることがあります。この痛みは数時間から数日程度で落ち着くことがほとんどです。強い痛みが続く場合は炎症が強く出ている可能性があるため、医師の診察を受けると安心です。

また、治療後は肌が敏感な状態になっているため、刺激のあるスキンケアや摩擦を避け、優しくケアを行いましょう。

シミ取り治療2週間後以降

炎症後色素沈着

炎症後色素沈着とは、シミ取りによる刺激で一時的に炎症が起こり、その後の回復過程でメラニンが過剰に作られて肌が茶色く見える状態です。紫外線を受けやすい生活環境の方は、炎症後色素沈着を起こしやすいので注意してください。

治療から2週間~1ヶ月ほどで目立つようになり、シミが濃くなったように見えるため不安を感じる方も少なくありません。

しかし、表皮性の炎症後色素沈着は適切なケアを続ければ6~12ヶ月ほどで目立たなくなるといわれています。より深い真皮性の色素沈着は数年間続くことがあります。

肝斑の悪化

肝斑をもともと持っている方や、肝斑が潜在的に存在していた場合、シミ取り治療をきっかけに肝斑が悪化することがあります。

肝斑は摩擦や紫外線、ホルモンバランスなどさまざまな要因で悪化しやすい性質を持っており、シミ取り治療の刺激が引き金となることがあるのです。

治療から2週間以降に「シミが広がったように見える」「全体的にぼんやりとした影が出てきた」と感じる場合は、肝斑が悪化している可能性があります。

シミ治療の種類とダウンタイムの違い

シミ治療には複数の種類があり、それぞれエネルギーの強さや仕組みが異なります。そのため、治療ごとにダウンタイムの出方も変わるのです。

ここでは、代表的な5つのシミ治療についてそれぞれの特徴とダウンタイムの傾向を解説します。

レーザートーニングのダウンタイム

レーザートーニングとは、低出力のレーザーを肌に照射し、徐々にメラニンの排出を促す治療です。肝斑やくすみの治療にも用いられます。刺激が比較的少ないため、シミ取り治療の中ではダウンタイムが少ないのが特徴です。

治療後に見られる症状としては、軽い赤みが挙げられます。テープ保護の必要もなく、次の日に予定がある方でも受けやすい施術です。

IPL(フォトフェイシャル)のダウンタイム

フォトフェイシャルは、レーザーではなく広い波長の光を利用してシミやくすみの改善を目指します。刺激が穏やかなためダウンタイムは短く、治療後には軽い赤みが出る程度のことが多いです。

人によっては、照射した部分が数日後に薄いかさぶたのように黒く浮き上がることがあります。

Qスイッチレーザーのダウンタイム

Qスイッチレーザーは、シミやそばかすなどピンポイントの色素に強く反応するレーザーです。短い時間にエネルギーを集中させて照射します。他の治療に比べてエネルギーが強いため、ダウンタイムがしっかり出ることが多いのが特徴です。照射直後は赤みや腫れが起こりやすく、その後かさぶたが形成されて自然に剥がれるまでに1~2週間ほどかかります。

また、Qスイッチレーザーのシミ取りは、ピコレーザーよりも炎症後色素沈着のリスクが高い点がデメリットです。そのため、当院ではピコレーザーを用いたシミ取りを行っています。

ピコスポットのダウンタイム

ピコスポットは、ピコ秒(1兆分の1秒)という非常に短い時間でレーザーを照射し、メラニンを細かく砕く治療方法です。

ターゲットとなる色素に高いエネルギーを効率よく届けるため、シミへの改善効果が期待できる反面、ダウンタイムははっきり出る傾向にあります。照射後は赤みやヒリつきが生じ、その後1週間前後でかさぶたができることが一般的です。

ピコトーニングのダウンタイム

ピコトーニングは、低出力のピコレーザーを広い範囲に均一に照射し、シミや肝斑などを改善する治療です。

ダウンタイムは少なく、治療後に出るのは軽い赤みや熱感程度であることが多いです。これらの症状は数時間から数日程度で落ち着き、翌日には多くの方が普段通りの生活を送れます。

当院で取扱のあるシミ治療の種類とダウンタイムの違い

当院では、シミの種類や肌質、ライフスタイルに合わせた治療を行える2つの治療機器を導入しています。現在導入しているのは、以下の2つの機械です。

  • ピコシュアプロ
  • ステラM22

ピコシュアプロによるシミ取りのダウンタイム

ピコシュアプロは、ピコ秒でレーザーを照射する最新型のピコレーザーで、従来のピコシュアよりもメラニンを細かく粉砕する力に優れているのが特徴です。

照射方法には3種類あり、それぞれのダウンタイムは以下のとおりです。

照射方法特徴ダウンタイム
スポット照射濃いシミや色素沈着に部分的に照射7~10日
全顔トーニング顔全体に照射し、肌をトーンアップさせるほとんどなし
フラクショナル照射微細なレーザーを点状に照射し、ニキビ跡や毛穴を改善する1~3日

低侵襲のため、肌への負担が最小限で済みます。スポット照射した場合はかさぶたができ、7~10日程度で自然に剥がれます。

全顔トーニングの場合は軽いヒリつきが出ることがありますが、ほとんどダウンタイムはありません。フラクショナル照射では、赤みや軽いざらつきが1~3日程度続くことがあります。

ステラM22のダウンタイム

ステラM22は、IPLと呼ばれる光を照射する機械で、シミ・そばかすだけでなく赤みやハリ不足など複数の肌悩みを同時に改善できます。レーザーよりも刺激が穏やかで、広範囲に光を照射するため、ダウンタイムは短く、日常生活に支障が出にくい点が大きな特徴です。

治療直後に軽い赤みが出ることがありますが、数時間から翌日程度で治まります。かさぶたができた場合は、1週間程度で自然に剥がれ落ちます。

シミ取りのダウンタイム中の過ごし方

シミ取り治療後の肌は、レーザーや光の刺激を受けたことで普段よりも敏感になっています。ダウンタイムを適切に過ごさないと赤みや腫れ、炎症後色素沈着のリスクが高くなるため注意が必要です。

紫外線対策を行う

シミ取り治療後の肌は紫外線の影響を受けやすく、少しの日差しでも炎症後色素沈着が起こりやすくなります。そのため、紫外線対策は最も重要なケアの一つです。

外出時は必ず日焼け止めを使用し、日傘・帽子・マスクなどで物理的に紫外線を防ぐ工夫を行いましょう。シミ取り後、最低でも3ヶ月は紫外線対策を必ず行ってください。

保湿を行う

シミ取り治療後の肌は、レーザーや光による刺激で、一時的にバリア機能が低下し、水分が蒸発しやすい状態になっています。そのため、十分な保湿を行うことが重要です。

乾燥したまま放置すると、ヒリつきや赤みが長引き、治療経過に悪い影響を及ぼすことがあります。

肌に刺激を与えない

ダウンタイム中は、治療部位にできる限り刺激を与えないように過ごすことが大切です。特に摩擦や熱、刺激のある化粧品は、肌の炎症を悪化させる原因になります。かさぶたができている場合は無理に剥がさず、自然に取れるまで待ちましょう。

また、スキンケアの際はピーリング成分やアルコールを含む製品の使用は避け、肌に優しいものを選んでください。

飲酒や激しい運動など血流が促進される行為を行わない

治療後すぐに飲酒や激しい運動を行うと、血流が一気に増えて治療部位の赤みや腫れが悪化することがあります。

特にレーザー治療後は肌が炎症を起こしているため、体温が上がる行為を行うと症状を長引かせる原因になります。サウナや半身浴など、体を温めるものも避けましょう。

肌をこすらないように洗顔する

シミ取り治療後の肌は摩擦に弱く、強くこすることで赤みや刺激が悪化し、治りが遅くなったり、炎症後色素沈着が起こりやすくなったりする可能性があります。

洗顔料は刺激が少ないものを選び、たっぷり泡立てて泡を肌に乗せるように優しく洗うことが大切です。また、かさぶたがある場合は絶対にこすらず、自然に剥がれるまで触らないようにしましょう。

当院で行っているダウンタイムの予防方法

シミ取り治療のダウンタイムを最小限に抑えるためには、治療直後から適切なアフターケアを行うことが重要です。

特に炎症後色素沈着を防ぎ、きれいな仕上がりを目指すには、肌を守りながら回復を促すケアを行う必要があります。

シミ取り直後

テープ保護を行い、抗炎症作用のあるステロイド外用薬(リンデロン)を約7日~10日間塗る

治療直後の肌は、レーザーや光の影響を受けたばかりで炎症が起こりやすく、とてもデリケートな状態です。当院では、治療部位をテープで保護し、外部刺激から肌を守る対応を行っています。

また、炎症を抑えるためにステロイド外用薬を約10日間使用していただき、赤みやかゆみを最小限に抑えるようにしています。

シミ取りから2週間後以降

ハイドロキノン・トレチノイン療法を行う

炎症後色素沈着のリスクを抑えるために、ハイドロキノン単独、またはハイドロキノン・トレチノイン療法を行っています。ハイドロキノンは、メラニンの生成を抑える働きがある外用薬です。

トレチノインは肌のターンオーバーを促し、メラニンを含む古い角質を排出しやすくします。これらを併用することで、色素沈着を抑える効果が期待でき、治療後の仕上がりを美しくキープできます。

なお、ハイドロキノン・トレチノイン療法の期間は3ヶ月が目安です。

長期連続使用により以下のような肌トラブルが起こる可能性があるためです。

  • オクロノーシス(色素沈着): ハイドロキノンの長期使用で色素沈着が現れることがあります。
  • 白斑(色抜け): ハイドロキノンにより色素細胞の機能が低下して、肌が白くなる症状が起きることがあります。
おすすめの使用方法

3ヶ月使用した後、数ヶ月の休止期間を設けて、肌の状態を確認します。その後、医師の指示に従って再開するサイクルを繰り返すことで、これらのリスクを予防しながら、長期的に効果を保つことができます。

定期的に医師の診察を受け、治療計画を確認することが大切です。

肝斑がある場合は、先に肝斑の治療を行う

肝斑はレーザーや光の刺激で悪化することがあるため、一般的なシミ取り治療とはアプローチが異なります。そのため、肝斑が疑われる場合や、すでに肝斑がある方は、まず肝斑の治療を優先することが大切です。

肝斑の適切な治療を行わず強いレーザーや光を照射すると、かえって症状が悪化することがあります。

また、肝斑がある場合は、低出力でのレーザー治療やステラM22では肝斑部位には肝斑モードで治療を行います。適切な順序・アプローチで治療を進めることが、安全にシミを改善することにつながります。

シミ取りのダウンタイムに関するよくある質問

シミ取り治療を受ける際、多くの方が不安に感じるのがダウンタイムに関する疑問です。見た目への影響や日常生活での不便さなどが気になる方が多いでしょう。

ここでは、シミ取りのダウンタイムに関してよくいただく質問にお答えします。

シミ取りのダウンタイムの隠し方はありますか?

シミ取り後の赤みやかさぶたを隠す方法として有効なのは、医療機関で貼られる保護テープを活用する方法です。テープは傷を守りながら外からの刺激を防げます。

テープが不要な治療の場合は、コンシーラーを薄く使用することでカバーが可能です。ただし、かさぶたができている状態で厚塗りすると、摩擦で症状が悪化したり炎症後色素沈着を起こしたりする原因となるため十分に注意してください。

シミ取りのダウンタイム中に化粧をしてもいいですか?

化粧が可能になるタイミングは治療方法や肌の状態によって異なりますが、基本的には治療当日はメイクを避け、翌日から行うことが推奨されています。

ダウンタイムがないシミ取りはありますか?

完全にダウンタイムがゼロの治療はほとんどありませんが、弱い出力で照射する施術は刺激が穏やかでダウンタイムが少ない傾向にあります。

ただし、ダウンタイムが少ない分、複数回の施術が必要になる場合があるため、「ダウンタイム重視」か「効果重視」かで適切な治療を選択することが重要です。

ハイドロキノンで赤くなってしまうのですが、炎症後色素沈着予防はどうしたらよいですか?

ハイドロキノンを使用すると肌が赤くなってしまう場合は、そのまま使い続けると炎症が悪化し、かえって負担になることがあります。代わりに、ビタミンCやトラネキサム酸などが配合された美白効果のあるスキンケアを取り入れるのがおすすめです。

これらの成分はメラニンの生成を抑えたり肌の透明感を高めたりする働きがあり、刺激が少ないため、ハイドロキノンが合わなかった方でも取り入れやすいでしょう。

シミ取り治療なら新宿駅前IGA皮膚科クリニック

当院では、患者さま一人ひとりのシミの種類や肌質に合わせて、最適な治療方法を医師が丁寧に選択しています。シミ取り治療にはレーザーやIPLなど複数の施術があり、それぞれダウンタイムの症状や期間が異なります。

当院では、炎症後色素沈着が起こりにくいピコシュアプロ、ダウンタイムが少ないステラM22を取り扱っています。

ダウンタイムを最小限に抑えるための外用薬の処方や、ハイドロキノン・トレチノイン療法も行っていますので、シミ取りに興味はあるもののダウンタイムが気になるという方は、お気軽にご相談ください。

新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子

監修:

新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子
日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士
京都大学医学部卒業