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多汗症・ワキガ

「汗が止まらない」「洋服に汗ジミが目立って恥ずかしい」「周囲の目が気になる」といった悩みを抱えていませんか?
多汗症やワキガは、日常生活に大きなストレスを与えることがあります。
多汗症は発汗量が異常に多くなる病気で、ワキガは特有のにおいを発する体質です。
この2つは混同されがちですが、原因や症状は異なります。
多汗症はエクリン汗腺からの発汗が異常に活発になるのに対し、ワキガはアポクリン汗腺の分泌物が皮膚の細菌によって分解されることでにおいが発生します。
当院では、患者さまの症状を丁寧に見極め、適切な治療を提案いたします。
多汗症について
多汗症の症状
多汗症は、特定の部位に限局して大量の汗をかく「局所性多汗症」が一般的です。
特にわき、手のひら、足の裏、顔などに発症しやすく、左右対称に症状が現れるのが特徴です。
わきの多汗は、衣類のシミやにおいの原因となり、人前に出ることに抵抗を感じるようになる方も少なくありません。
症状が長期間にわたり続く場合、治療によって日常生活の快適さを取り戻すことが可能です。
多汗症の原因
多汗症の原因は明確には解明されていませんが、交感神経の過剰な興奮が関与していると考えられています。
とくに原発性局所多汗症は、精神的緊張やストレスで症状が悪化する傾向があり、10代~30代の若年層に多く見られます。
一方で、糖尿病や甲状腺機能亢進症などが背景にある「続発性多汗症」もあり、この場合は原因となる病気の治療が必要です。
ワキガについて
ワキガの症状
ワキガは、わきから独特なにおいが発生する体質のことを指します。
このにおいはアポクリン汗腺から分泌される汗が皮膚の常在菌に分解されることで生じます。
においの強さには個人差がありますが、本人が気づかないことも多く、家族や他人から指摘されて初めて気づくケースもあります。
特に夏場や思春期など、汗の量が増える時期に症状が顕著になります。
ワキガの原因
ワキガの主な原因は、アポクリン汗腺の数や大きさ、分泌量にあります。
遺伝的要素が強く、家族にワキガ体質の方がいる場合は発症しやすくなります。
また、食生活(脂肪分の多い食事)、ホルモンバランスの変化、ストレスなどもにおいの強さに影響を与えることがあります。
当院で行う多汗症・ワキガの治療
外用薬(塗り薬)
汗の分泌を抑える外用薬としては、「塩化アルミニウム溶液」が広く使用されます。
これは汗腺に一時的に栓をすることで、発汗を抑える働きがあります。
軽度の多汗症の方や、局所的な発汗が気になる方に有効とされています。
推奨回数
毎晩1回塗布し、症状の改善に応じて頻度を調整します
副作用
皮膚のかぶれ、赤み、かゆみ
ダウンタイム
特にありません
禁忌
アレルギー体質の方、皮膚炎・湿疹のある部位への使用は不可
※保険適用:外用薬の処方は保険診療が可能です(重度の場合)
ボツリヌストキシン注射
ボツリヌストキシン注射は、発汗を司る神経伝達物質「アセチルコリン」の放出を抑制し、発汗を一時的に抑える治療です。
わきの多汗症に高い効果が認められています。
即効性があり、治療後2~3日で発汗が軽減され、3~6カ月程度効果が持続します。
推奨回数
年2~3回の施術を推奨
副作用
注射部位の内出血、軽度の痛み、筋力低下
ダウンタイム
注射直後のわずかな腫れ・赤み(数日で改善)
禁忌
妊娠中・授乳中の方、神経筋疾患のある方
※保険適用:原発性腋窩多汗症の場合、条件を満たせば保険適用となります(保険適用は重症度の評価が必要です)
当院の多汗症・ワキガの治療方針について
当院では、まず医師が丁寧に問診・診察を行い、多汗症かワキガか、それぞれの症状や重症度を正確に診断します。
そのうえで、患者さまのライフスタイルやご希望に応じて、外用薬・注射治療・機器治療などから最適な治療を提案いたします。
たとえば、軽度の症状にはまず外用薬を使用し、改善が不十分な場合にボツリヌストキシン注射へステップアップするという治療スケジュールも可能です。
初診では保険診療での対応が可能かどうかの判断も行いますので、まずはお気軽にご相談ください。
症状の性質や患者さまの希望に合わせた、無理のない治療計画をご案内いたします。
未承認医薬品等に関するご案内
・未承認医薬品であることの明示
本施術に使用する医薬品は、医薬品医療機器等法上、未承認医薬品です。
・入手経路等の明示
施術に用いる医薬品および機器は、当院医師の判断の元、国内輸入販売代理店を通じて個人輸入手続きを行ったものです。
・国内の承認医薬品等の有無の明示
同一の性能を有する国内承認医薬品・医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報の明示
諸外国で重篤な安全性情報の報告はありません。

監修:
新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子
日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士
京都大学医学部卒業