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ピコシュアプロとは

ピコシュアプロ(PicoSure® Pro)は、米国Cynosure社が製造するピコレーザー機器です。
従来のピコシュアから進化し、最大出力が向上、より安定したエネルギー照射が可能になりました
米国FDA(食品医薬品局)および日本国内の薬事承認を取得しており、安全性と有効性が世界的に認められています。
シミ・そばかす・肝斑・くすみ・色素沈着の改善から、ニキビ跡や毛穴の引き締め、肌質改善、タトゥー除去まで幅広い治療への対応が期待できる、医療機関専用のレーザーです。
ピコシュアプロが効果を発揮する仕組み
ピコシュアプロは、755nmのアレキサンドライトレーザーをピコ秒(1兆分の1秒)単位で照射します。
この超短時間照射により、従来のナノ秒レーザーに比べて熱ダメージを最小限に抑え、衝撃波(光音響効果)でメラニン色素や肌内部の異常構造を微細に破砕します。
熱作用よりも物理的な衝撃波による分解が主体となるため、炎症や色素沈着のリスクを抑え、ダウンタイムを短くできるのが特徴です。
ピコシュアプロの特徴
- 低侵襲で肌への負担が少なくなっています
- 治療後の赤み・腫れが比較的軽度に抑えられます
- 幅広い症状に対応可能です
- 低出力モードを搭載しており、肝斑にも使用できます
- 肌質改善効果と色素除去効果を同時に発揮します
一般的なピコレーザーは532nmや1064nm波長を主体とすることが多いですが、ピコシュアプロは755nm波長に特化し、メラニン吸収効率が非常に高いことから、シミやそばかす治療において優位性を発揮します。
ピコシュアプロの効果
照射方法と効果
スポット照射
濃いシミや部分的な色素沈着に直接照射し、ピンポイントで除去します。
〜3回程度の施術で改善を実感される方が多いです。
全顔トーニング(低出力照射)
顔全体に均一に照射し、肝斑やくすみの改善、肌全体のトーンアップに効果的です。
3〜4週間ごとに5〜10回前後で高い効果が期待できます。
肌質改善や美白効果は施術後1〜2週間で実感でき、その後も徐々に向上していきます。
フラクショナル照射
微細なレーザービームを点状に照射し、肌の再生を促してニキビ跡や毛穴を改善します。
3〜4週間ごとに5〜10回前後で高い効果が期待できます。
肌質改善や美白効果は施術後1〜2週間で実感でき、その後も徐々に向上していきます。
ピコシュアプロのメリット・デメリット
メリット
- 治療後の色素沈着リスクが低い
- ダウンタイムを短く抑えられ、当日からメイクが可能(※一部照射法を除く)
- 症状や目的に応じて複数のモードを使い分け可能
- 肝斑治療にも対応できる
デメリット
- 複数回の施術が必要なことが多くなる場合があります
- 一部の濃い色素は一時的に濃く見えることがあります
- 保険適用外のため費用が自己負担となります
ピコシュアプロの仕様
項目 | 内容 |
---|---|
製造 | Cynosure社(米国) |
波長 | 755nm アレキサンドライトレーザー |
パルス幅 | ピコ秒(500〜900ps) |
モード | スポット照射、トーニング、フラクショナル |
国内承認 | 有(薬事承認取得済)医療機器承認番号:30500BZX00079000 |
海外承認 | 米国FDA承認、欧州CEマーク取得 |
入手経路 | 国内正規代理店を通じて入手しています。 |
ピコシュアプロによる施術の注意点
副作用
ピコシュアプロは従来のレーザーに比べて副作用のリスクは低いとされていますが、以下のような症状が一時的に出る場合があります。
- 照射部位の赤み、軽度の腫れ
- ごく軽いかさぶた、または色素が一時的に濃く見える
- まれに色素沈着や色素脱失(白斑)
- 刺激感や軽いかゆみ
これらの多くは数日〜1週間程度で自然に軽快しますが、症状が長引く場合は必ずご連絡ください。
ダウンタイム
スポット照射
照射部位がかさぶたになり、7〜10日程度で自然に剥がれます。
その間はメイクで隠すことも可能です。
全顔トーニング
赤みや軽いヒリヒリ感が数時間〜翌日まで残ることがありますが、ほとんどの場合ダウンタイムはありません。
フラクショナル照射
赤みや軽いざらつきが1〜3日程度続くことがあります。
当日から洗顔・保湿は可能ですが、強くこすらないよう注意してください。
禁忌
以下に該当する方は施術を受けられない、または医師による慎重な判断が必要です。
- 光過敏症や光アレルギーのある方
- ケロイド体質の方
- 重度の日焼け直後、または施術部位に炎症や感染がある方
- 妊娠中・授乳中の方
- 抗凝固薬内服中の方や出血傾向のある方
- 過去に同部位に強い色素異常や瘢痕が残った経験がある方
ピコシュアプロによる施術の流れ
1.カウンセリング・診察
まずは医師が肌の状態を詳しく診察し(ご希望に応じ肌画像解析システムVISIAを使用することもあります)、患者さまのお悩みやご希望を丁寧にお伺いします。
シミや肝斑、ニキビ跡などの種類や肌質を確認し、ピコシュアプロの適応や照射方法をご提案します。
副作用やダウンタイム、施術後のケアについてもわかりやすくご説明いたします。
2.洗顔・クレンジング
施術部位のメイクや皮脂をしっかり落としていただきます。
これによりレーザーの効果を最大限に発揮できます。
3.麻酔(必要に応じて)
フラクショナル照射など刺激の強い施術の場合は、麻酔クリームを塗布します。
施術時間は約20〜30分です。
4.照射
医師または看護師が設定を調整し、症状に合わせたモード・出力で照射します。
照射中は軽く輪ゴムで弾かれるような刺激や温かさを感じることがありますが、多くの方が耐えられる程度です。
5.アフターケア
照射後は赤みやほてりを鎮めるためにクーリングを行います。
必要に応じて保湿剤や抗炎症外用薬を塗布します。
6.施術後の説明・ご帰宅
施術後すぐに洗顔やメイクが可能な場合もあります(施術内容による)。
日焼け止めの使用や摩擦の回避など、ホームケアの注意点をご案内します。

監修:
新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀 那津子
日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士
京都大学医学部卒業